特集
SPECIAL FEATURE
2023.09.12
波里のお米の粉
小麦粉の国際価格高騰や、食料自給率の向上を狙う国の普及活動などが追い風となり(2023年8月には農林水産省主導の「米・米粉消費拡大推進プロジェクト」もスタートしましたね!)、関心が高まっている「米粉」。米粉メーカーとしては嬉しい限りです。
米粉は名前のとおりお米を製粉したものですが、グルテンアレルギーの人も食べられることや、栄養バランスに優れており健康的なイメージを持っている人も多いと思います。
米粉への関心が高まったのは今回が初めてではありません。
1999年に大ヒットした幼児向け童謡「だんご3兄弟」。当時、だんごの材料である米粉が注目されました。また2005年頃、主食用米の豊作により、余った米を米粉として加工し活用しようと供給量が急激に増加しました。しかし、その都度一時的な盛り上がりはあったものの、その後普及せず徐々にペースダウンすることになります。
なぜ米粉は浸透しなかったのでしょうか。アレルギー食のイメージや使い方がわからないといったことが大きな原因だと思います。小麦粉の代わりに使ってみたけれど、思ったような仕上がりにならなかったという話もよく聞きます。
しかし、昨今の米粉ブームでは「米粉○○」や「米粉を使った○○」といったワードを目にする機会が増え、小麦粉の代替やアレルギー対応食品としてだけではなく、普段の食卓に徐々に広がりをみせています。
パンをはじめ米粉で作るには難易度が高いメニューがある一方、実に簡単に作れたり、米粉を使うことでより美味しく仕上がるメニューも沢山あります。
国のプロジェクトに負けないように、米粉メーカーとして米粉を使った新しい調理法やおすすめのレシピをどしどし紹介していきますのでお楽しみに。先ずは、波里の米粉をご紹介させていただきます。
お米の粉
波里では昭和26年(1951年)から、米粉の製造を行ってきました。和菓子に使われる「上新粉」や「もち粉」から始まり、現在では業務用から家庭用まで幅広い米粉を製造しています。(参考:「波里の米粉」https://www.namisato.co.jp/riceflour/)
波里では米粉のことを「お米の粉」と呼んでいます。
古くから日本人の食生活を支えてきたお米とお米の生産者さんへの敬意や感謝の気持ちをこめて創業時からそう呼ばせてもらっています。
波里が作っている「お米の粉」は、大きく2種類のお米から作られています。
一つは「うるち米」。うるち米は、日本人の主食としてそのまま食べられている「主食米」(コシヒカリやつや姫など)の他に、お酒や味噌、米菓などを作るための「加工用米」、そして米粉や飼料の原料となる「新規需要米」に区別され生産されています。
波里が製造している米粉「お米の粉」は新規需要米から、和菓子の原料となる「上新粉」は加工用米を製粉して作られています。さらに「お米の粉」は米の品種や製粉方法により特性が異なってくるため、その特性をいかした多様な商品ラインナップとなっています。
二つ目は「もち米」です。もち米を製粉して作られる米粉は「もち粉」として、主に大福の皮や求肥など和菓子に使われます。もち粉を使った皮は、もちっとしてよく伸びる特徴があります。
今回は波里のお米の粉の看板商品、「サクッ!と仕上がる お米の粉お料理自慢の薄力粉」「しっとり!新食感 お米の粉手作りお菓子の薄力粉」「もっちり!と仕上がるお米の粉手作りパンの薄力粉」の3品についてご紹介したいと思います。
サクッ!と仕上がる お米の粉お料理自慢の薄力粉
「サクッ!と仕上がる お米の粉お料理自慢の薄力粉」は、料理用に開発された米粉です。普段の料理からお菓子作りまで活用できる非常に汎用性の高い米粉となっています。
米粉用の新規需要米(国産)をロールを嚙合わせることによってお米を粉砕する「ロール挽き」によって製粉されています。
米粉は細かい粒子ほど品質がよいと言われがちですが、粒子のサイズによって特性が変わってくるため、料理によって使い分けることがポイントです。料理用の米粉は、ロール粉砕により粒子にある程度の粗さが出ることで、普段の料理に使いやすい汎用性の高い米粉となっています。
また、適度に吸水するため、煮込み料理のとろみづけやパンケーキなどにも向いています。
特におすすめしたい料理の一つに唐揚げや天ぷらなどの揚げ物があります。カリっと仕上がりかつサクッ!が長持ちするため、お弁当用にもお勧めです。また、吸油率(油を吸う割合)が低いため、よりヘルシーに仕上がる嬉しい特徴もあります。
しっとり!新食感 お米の粉手作りお菓子の薄力粉
「しっとり!新食感お米の粉 手作りお菓子の薄力粉」は、製菓用に開発された米粉です。
米粉の特性を大きく左右する成分の一つに「アミロース」があります。波里の商品開発部隊は、アミロース含有率が低いお米を使用した米粉が、メレンゲを使用するようなシフォンケーキやスポンジ生地との相性が非常によいことを突き止めました。
そこで、アミロース値が低い米の品種「あきたこまち」を使い、柔らかくしっとりとしたお菓子を作ることができる製菓用の米粉を製品化しました。
また、お米の品種だけではなく、「気流粉砕」という気流を使った製粉方法により、より細かく澱粉損傷の少ない(ダメージの少ない)粒子に加工することで、柔らかくしっとりしつつ、ふわふわとした食感も出すことができます。
お菓子作りがすきな方は、ぜひこちらの米粉を使っていただきたいです。
もっちり!と仕上がる お米の粉手作りパンの薄力粉
「もっちり!と仕上がる お米の粉手作りパンの薄力粉」は米粉100%のパン作りに適した米粉です。
「ミズホチカラ」や「笑みたわわ」(お米の品種名)などのパン用途に適したお米を使用しています。米粉を使用したパン作りでは、ふんわり感や焼き上がりの高さを出すことが難しいとされますが、これらの品種を使うことで、焼き上がりはふんわり高さを出すことができ、膨らみと硬さのバランスも非常によい状態に仕上がります。
吸水率が低く水分を抱きこまないことから、成形には向いておらず、パウンド型などの型を使う型焼きパンや、ホームベーカリーでのパン作りに向いています。
米粉のお料理上手になるために
小麦が国内外合わせて500万トン以上流通し加工されていることに対し、米粉専用米の流通量は5万トン程です。その5万トンのお米を複数の米粉メーカーが製粉し米粉や米粉加工品として販売しています。
また、日本のお米はブランド米による文化があるように、お米は栽培地により出来栄えに差が出やすく、同じ県内であっても北と南では品質に差が出るといったこともよくあることです。
つまり、米粉は小麦粉のように均一化が難しいということです。米の栽培地、品種、米粉会社による製粉方法などによって特性が違っています。そのため、それぞれの米粉にあった調理方法や料理があります。調理者にとってそれは不便で使いにくいという印象を与えてしまうかもしれません。
しかし波里では、それを米粉の長所としてとらえ、それぞれの特性にあった使い方を提案したり、新しい製品を開発しています。米粉は小麦粉の代替や健康食品としてだけではない魅力もたくさん持っています。米粉を使うことで格上げの一品ができたり、米粉を使うことで新しい発見もたくさんあります。
ぜひ米粉の特徴を知ってください。米粉のお料理上手になりますよ。
【米粉選びのチャート】